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歴史的トラウマと日常を結ぶ心理臨床 在日コリアンに対する実態調査と臨床実践|朴希沙

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[版元サイトより引用]
在日コリアンへの差別や偏見は日本社会に根強く残っている。そうした状況下でトラウマや心理的葛藤を抱えてきた彼/彼女らの心のケアは軽んじられてきた。その問題を歴史‐社会‐個人の3つを軸に心理士でもある著者が自らの心理療法の経験を通じて考える。

目次
はじめに――本書の背景にある問題意識

第Ⅰ部 私自身について――当事者、実践者、研究者として

 当事者、実践者、研究者であること
 社会がよくなれば、権利を獲得すれば、人は幸福に……なれる?
 実存的契機となった育ち直しの経験
 韓国での生活――当事者から実践者への架け橋
 日本社会に着地する契機――そして、研究者へ
 まとめ

第Ⅱ部 本論

第1章 在日コリアンとメンタルヘルス
 1 植民地支配の歴史とメンタルヘルス――歴史的トラウマからの考察
  1・1 歴史的トラウマとは
  1・2 歴史的トラウマを「公共の物語」として捉える視点
  1・3 在日コリアンと歴史的トラウマ
  1・4 歴史的トラウマとメンタルヘルス
 2 差別とメンタルヘルス――人種差別がメンタルヘルスにもたらす影響
  2・1 人種差別やマイクロアグレッションがメンタルヘルスに与える有害な影響
  2・2 在日コリアンに対する差別の現状
 3 歴史的社会的背景が在日コリアンのメンタルヘルスに与える影響
 4 「私」の物語の重要性――複雑な日常の実態に光を当てる
  4・1 「表現することの危機」①――属性がもたらす複層的な制約
  4・2 「表現することの危機」②――綺麗な物語には収まらない自己について、人はいかに語るのか
  4・3 ナラティヴ・アプローチ(物語論的アプローチ)について
  4・4 ナラティヴ・アプローチから考える在日コリアン個人の物語
 5 まとめ

第2章 在日コリアンに対する心理社会的支援のこれまで
 1 日本の精神医学分野と在日コリアン
 2 日本の心理学分野と在日コリアン
 3 日本の臨床心理学分野では在日コリアンはどのように「扱われてこなかったのか」
 4 在日コリアンコミュニティおよび近接領域と臨床心理学的問題との関係
  4・1 在日コリアンの運動と臨床心理学
  4・2 臨床心理学の近接領域における在日コリアン研究
 5 まとめ

第3章 在日コリアンのメンタルヘルスに関わる取り組み――「免責」と「引責」のプロセスとそれを可能にする場の特徴
 1 サポートグループ「それが一人のためだとしても」とは
 2 「してもの会」の活動の変遷
 3 「してもの会」の構造と参加者の特徴
 4 在日コリアンと当事者研究
  4・1 べてるの家の当事者研究とはなにか――当事者が「苦労の主人公」になるという視点
  4・2 当事者研究の理念や方法
  4・3 在日コリアンにおいて当事者研究が用いられることの意味――「私」の内実を言語化するために
 5 在日コリアン参加者の歴史‐社会‐個人が統合されていくプロセス
  5・1 「してもの会」における在日コリアンの体験のプロセス
  5・2 歴史的トラウマと日常を結ぶ認知行動モデル
 6 在日コリアンのための心理社会的支援に必要な場の特性
  6・1 安全な場所であること、個々人のリアリティを共有すること
  6・2 マジョリティにおける体験的学びの重要性
  6・3 「してもの会」の文化
 7 まとめ――在日コリアンに対する心理社会的支援を「免責」と「引責」の観点から考察する
  7・1 責任の意識化――フランクルの実存分析という思想的背景
  7・2 在日コリアンにおいて「免責」と「引責」が持つ意味

第4章 心理化されやすい日常の被差別体験を可視化する――在日コリアン青年へのマイクロアグレッション実態調査より
 1 マイクロアグレッション概念が在日コリアンの差別研究に持つ意味
 2 マイクロアグレッションの三分類とマクロアグレッション
 3 調査方法
  3・1 調査協力者
  3・2 調査手続き
  3・3 分析
  3・4 倫理的配慮
 4 調査結果
  4・1 日常的な侮辱
  4・2 日常的な見下し
  4・3 日常的な無価値化
  4・4 マイクロアグレッションに対する反応
  4・5 マイクロアグレッションに対する対処
  4・6 現在役立っているもの
 5 考察
  5・1 心理化されやすい日常の被差別体験をマイクロアグレッションというフレームから捉え直す
  5・2 マイクロアグレッションに対する対応の模索
  5・3 マイクロアグレッション概念が在日コリアンに対する心理社会的支援にもたらす意義
  5・4 本調査の課題およびマイクロアグレッション概念に対する批判

第5章 在日コリアンのための心理社会的支援の現場――ZACについて
 1 ZACの構造
 2 相談の実際
 3 主訴(困りごと)に見られる特徴
  3・1 家族関係に関する悩みの特徴
  3・2 対人関係に関する悩みの特徴
  3・3 在日コリアンコミュニティにおける悩みの特徴
  3・4 差別やマイクロアグレッションに関する悩みの特徴
 4 ZACにおける臨床的な対応の流れとその特徴
  4・1 インテーク面接(初回面接)
  4・2 アセスメント①――全体的なアセスメント/ヒアリング
  4・3 アセスメント②――主訴に関するアセスメントと問題の同定
  4・4 介入①――カウンセリングにおける目標の設定
  4・5 介入②――具体的な手段・技法の選択と実践
  4・6 介入③――効果の検証からフォローアップまで

第6章 「免責」と「引責」が交差する場としての心理臨床――ZACの実践
 1 事例① ジェンダーとインターセクショナリティの視座から
  カウンセリングの開始――主訴の聴き取りとアセスメントの開始、医療との連携
  前期――アセスメント①(ヒアリング)と支持的心理療法
  中期――認知行動療法を活用した日常生活におけるQOLの向上
  終結期――維持と般化、振り返りとフォローアップ
 2 事例② 男性性、民族差別、加害・被害の関係から
  カウンセリングの開始――主訴の聴き取りとアセスメントの開始
  前期――認知行動療法を用いた怒りへの対応
  中期――怒りに対する様々な語り
  現在――環境調整と助けを求めるための試み
 3 考察:歴史ー社会ー個人のつながりの中で「主訴」を捉え返す
  3・1 主訴を歴史的社会的背景の中で捉え直す
  3・2 歴史的トラウマと日常を結ぶ認知行動モデルの活用――個人の物語のディテールに立脚する
  3・3 ZACにおける認知行動療法とナラティヴ・アプローチとの関係
  3・4 ジェンダーとインターセクショナリティ
  3・5 在日コリアンの家族理解
  3・6 在日コリアン個々人が「自由に語ることができる環境」をいかに整えるか
  3・7 まとめと今後の課題

第7章 社会の中で心理社会的支援を位置づける
 1 マジョリティ特権と心理社会的支援との関係
  1・1 歴史や社会を「考慮しない」ことが支援現場にもたらす問題
  1・2 マジョリティの特権と心理社会的支援との関係
  1・3 まとめ――在日コリアンの心理社会的支援に携わる日本人に求められること
 2 心理社会的支援が社会において持つ意味――差別への日常的介入戦略を参照枠として
  2・1 差別への日常的介入戦略(microintervention strategies)とはなにか
  2・2 在日コリアンのための様々な活動を、差別への日常的介入戦略の枠組みの中で捉える
  2・3 まとめ

第8章 在日コリアンの心理社会的支援に求められるものとその可能性
 1 光と影のモデル――生態学的モデルへの補助線
 2 本書で得られた知見
 3 本書の意義と残された課題、他のマイノリティへの応用可能性

 おわりに

謝辞
参考文献
索引


[書籍情報]
サイズ:155mm×215mm
ページ数:288ページ

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